アサヒカメラ創刊から90年、私自身も編集長として3年目を迎えたこの年、実は一つの悩みを抱えていました。2015年1月号で誌面を大幅刷新した際、「学べる写真誌、使えるカメラ誌」を編集方針に掲げていたのですが、「7月号」だけが気がかりでした。7月号は過去20年、ヌード特集が恒例で毎年良く売れる号。しかし、読者の内訳は撮影愛好家以外が大半で、売れたとしても編集方針とは相容れず、一部読者からは「煽情的だ」などと批判も寄せられていました。私としても読者への説明責任を十分に果たせないと感じていました。
そこで創刊90年の節目を逆手に取り、「最後のヌード特集」を標榜。写真表現史としての特集に路線を変更し、篠山紀信さんや渡辺達生さんなどの人気写真家に作品の意義を語ってもらいました。そのせいか、批判の声は沈静化。アーカイブ性が読者に響いたこともあってか、例年以上の売上を獲得できました。

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